巨大IT4社は稼いだ現金の何割をデータセンターなどに使っているのか

2026年4〜6月、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの4社は、本業で稼いだ現金1ドルにつき96セントを設備投資に回した。1年前の同じ時期は69セント、2019年の通年では38セントだった。

2026-10-27

何と何を比べているのか

この記事では、4社のキャッシュフロー計算書から2つの行を取り出して並べます。キャッシュフロー計算書は会社のお金の出入りを示す決算書類で、4社はこれを米国証券取引委員会(SEC)に提出しています。1つ目の行は営業キャッシュフロー、つまりその四半期に本業を回して入ってきた現金です。従業員や仕入れ先への支払い、税金を払った後の金額で、ここで扱う設備投資をはじめ、投資に現金を回す前の段階の数字です。2つ目の行は、土地・建物や設備の購入に払った現金です。データセンター、サーバー、通信機器、オフィス、アマゾンの場合は物流倉庫や配送網も含みます。この記事ではこれを設備投資と呼びます。

金額はすべて当時のドルのままで、インフレ調整はしていません。4社の数字は四半期ごとに合算しています。各社は年初からの累計で報告するため、各四半期の数字は累計からそれ以前の月の分を差し引いて求めました。マイクロソフトは会計年度が7月に始まるので、4〜6月期は年度の最後の四半期にあたり、年次報告書から同じ方法で計算しています。会計年度はずれていても、対象の月は暦の上で他の3社と同じです。

38セントから96セントへ

2019年の通年で、4社は営業キャッシュフロー1ドルにつき38セントを設備投資に使っていました。その後の数年も、2つの行の差は開いたままでした。2022年の通年では設備投資が増える一方、営業キャッシュフローはわずかに減りました。2023年には営業キャッシュフローが大きく伸び、設備投資は少し減りました。

そこから設備投資が急増します。4社の支出は2024年1〜3月に440億ドル、2025年の第4四半期には千百九十億ドルに達しました。2026年1〜3月には営業キャッシュフロー1ドルにつき86セントを使いました。2026年4〜6月には営業キャッシュフロー千七百二十億ドルのうち千六百五十億ドルを設備投資に使い、2つの行の差は約70億ドルまで縮まりました。1年前の同じ時期は、千二百八十億ドルのうち880億ドル、つまり69セントでした。

設備投資が営業キャッシュフローにほぼ追いついた · マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの四半期ごとの合計(億ドル)、2019年1〜3月から2026年4〜6月 · 19年1Q · 19年2Q · 19年3Q · 19年4Q · 20年1Q · 20年2Q · 20年3Q · 20年4Q · 21年1Q · 21年2Q · 21年3Q · 21年4Q · 22年1Q · 22年2Q · 22年3Q · 22年4Q · 23年1Q · 23年2Q · 23年3Q · 23年4Q · 24年1Q · 24年2Q · 24年3Q · 24年4Q
マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの四半期ごとの合計(億ドル)、2019年1〜3月から2026年4〜6月

会社によって事情は違う

2026年4〜6月、4社のうち2社は自社の営業キャッシュフローを上回る額を設備投資に使いました。アマゾンは営業キャッシュフロー454億ドルに対して542億ドル、アルファベットは391億ドルに対して449億ドルです。メタは319億ドルに対して301億ドルと、それに迫りました。マイクロソフトは554億ドルに対して358億ドルで、4社の中で最も余裕がありました。

アマゾンとアルファベットは本業で稼いだ以上を設備投資に使った · 営業キャッシュフローと設備投資(2026年4〜6月、億ドル) · 営業キャッシュフロー · 設備投資 · アマゾン · アルファベット · メタ · マイクロソフト · 454億ドル · 391億ドル · 319億ドル · 554億ドル · 542億ドル · 449億ドル · 301億ドル · 358億ドル · アマゾンの数字は総額。メタの数字は土地・建物や設備に関する売却収入などを差し引いた額。
営業キャッシュフローと設備投資(2026年4〜6月、億ドル)

1四半期で見るか、1年で見るか

どちらの行も四半期ごとに上下するので、1つの四半期だけでは流れを大きく見せすぎたり、小さく見せすぎたりすることがあります。この記事が4〜6月を1年前の同じ時期と比べているのはそのためです。4四半期をまとめて見れば、その上下はならされます。2025年7月から2026年6月までの1年間で、4社は営業キャッシュフロー六千六百億ドルのうち五千百十億ドル、1ドルにつき77セントを設備投資に使いました。直近の四半期を単独で見ると、2019年以降の数字の中で最も高い水準です。

4四半期では1ドルにつき77セントを設備投資に · 営業キャッシュフロー1ドルあたりの設備投資(セント)、4社合計 · 96セント · 69セント · 77セント · 2026年4〜6月 · 2025年4〜6月 · 2025年7月〜2026年6月 · どちらの数字も四半期ごとに上下する。この比率は利益を測るものではない。
営業キャッシュフロー1ドルあたりの設備投資(セント)、4社合計

各社はお金の使い道をどう説明しているか

このデータでは、人工知能(AI)向けの支出とそれ以外の設備投資を分けることはできません。使い道は各社自身の提出書類が説明しています。マイクロソフトは2026年6月までの年度の年次報告書で、データセンターの建設や拡張を含め、AIモデルと関連するクラウドサービスの開発、学習、提供、サポートのために「大規模な設備投資と運営投資」を行っていると述べています。さらに、こうした投資は「大きな規模で、前倒しの日程で」、「収益源が十分に育つ前に」行われており、その収益は「想定した時期や水準で実現しない可能性がある」としています。

アルファベットの四半期報告書は、2026年上半期に土地・建物や設備の購入が増えたのは「技術インフラへの投資によるもの」だとしています。メタの報告書は「サーバー、データセンター、ネットワーク基盤への投資を続けた」と述べています。アマゾンの報告書は、資産の売却収入や優遇措置を差し引いた指標である「現金ベースの設備投資」について、「主に技術インフラ(その大半はAWS事業の成長を支えるため)と、物流網の能力拡大への投資を反映している」としています。アマゾンが7月に出した決算発表は、売却収入と優遇措置を差し引いた直近1年間の支出という別の指標を取り上げ、前年からの増加は「主に人工知能への投資を反映している」と述べています。

差が縮まったことから言えること、言えないこと

営業キャッシュフローはこの支出を差し引く前の数字なので、この比率は利益を測るものではなく、その設備が元を取れるかどうかについても何も語りません。4社の投資の全体を映すものでもありません。ファイナンス・リースで手に入れた設備や建物は含まれておらず、4社ともデータセンターやサーバーのリースを報告しています。アルファベットとメタは、契約済みでまだ始まっていないデータセンターのリースも報告しています。

設備投資の定義は会社ごとに少しずつ違います。この記事は4社とも同じ行、つまり各社のキャッシュフロー計算書に載っている土地・建物や設備の購入額を使っていますが、その中身は完全には同じではありません。アマゾンの数字は総額です。アマゾン自身の「現金ベースの設備投資」は資産の売却収入や優遇措置を差し引いたもので、2026年4〜6月は総額542億ドルに対して531億ドルになります。メタの数字は、現在のキャッシュフロー計算書の示し方どおり、土地・建物や設備に関する売却収入などを差し引いた額です。メタ自身が公表する「設備投資」にはファイナンス・リースの元本返済も加わっていますが、ここには含めていません。

営業キャッシュフローは、各社が使えるお金のすべてでもありません。各社は現金や投資を持っており、借り入れや株式の発行もできます。アルファベットは2026年6月に新株と優先株を発行し、提出書類では、その資金を「AIインフラと世界的な計算能力を拡大するための設備投資を含む、一般的な企業目的」に使うとしています。アルファベットはこの四半期に社債も発行し、メタも2026年5月に社債を発行しました。マイクロソフトの年次報告書は、手元の現金、短期投資、営業キャッシュフロー、資本市場からの調達によって、「重要な設備投資」を含む事業運営や契約上の支払いに必要な資金を「引き続きまかなえる」と見込んでいます。ここで引用したどの提出書類も、特定の四半期の設備投資を払うために株式や社債の発行が必要だったとは述べておらず、この記事の数字もそれを示してはいません。

2026年4〜6月は、数字を集めた2026年十月下旬の時点で、4社すべてが報告を終えていた最新の四半期です。メタはすでに7〜9月期の報告書を提出していましたが、マイクロソフト、アルファベット、アマゾンはまだでした。

数字の作り方

各社の数字は、SECが提出書類をもとに公開しているデータから取りました。どの数字も、同じ期間を載せた別の提出書類、つまり別の四半期報告書や年次報告書、最新の四半期については各社の決算発表と1行ずつ照らし合わせています。メタは2022年から2024年初めにかけて、土地・建物や設備に関する売却収入などの示し方を変えたため、それ以前の数字はまず現在と同じ差し引き後の基準にそろえました。その基準で比べると、2つの資料の数字は毎回一致しました。

巨大IT4社は稼いだ現金の何割をデータセンターなどに使っているのか巨大IT4社は稼いだ現金の何割をデータセンターなどに使っているのか本業の現金1ドルにつき96セントを設備投資に · マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの合計。2026年4〜6月は営業キャッシュフロー千七百二十億ドルのうち千六百五十億ドル。1年前の同じ時期は69セント、2019年の通年では38セント。 · ※ 営業キャッシュフロー : 本業を回して入ってきた現金。投資に回す前の金額19年1Q · 19年2Q · 19年3Q · 19年4Q · 20年1Q · 20年2Q · 20年3Q · 20年4Q · 21年1Q · 21年2Q · 21年3Q · 21年4Q · 22年1Q · 22年2Q · 22年3Q · 22年4Q · 23年1Q · 23年2Q · 23年3Q · 23年4Q · 24年1Q · 24年2Q · 24年3Q · 24年4Q4社中2社は営業キャッシュフロー以上を設備投資に · 2026年4〜6月。アマゾンは営業キャッシュフロー454億ドルに対して542億ドル、アルファベットは391億ドルに対して449億ドル。メタは319億ドルに対して301億ドルと迫った。マイクロソフトは554億ドルに対して358億ドル。96セント · 69セント · 77セント · 2026年4〜6月 · 2025年4〜6月 · 2025年7月〜2026年6月 · 4四半期では1ドルにつき77セントを設備投資に · 営業キャッシュフロー1ドルあたりの設備投資(セント)、4社合計 · どちらの数字も四半期ごとに上下する。この比率は利益を測るものではない。「収益源が十分に育つ前に」 · マイクロソフトが2026年6月までの年度の年次報告書で、AIモデルとデータセンターへの投資について述べた一節。その収益は「想定した時期や水準で実現しない可能性がある」とも記している。96セントは利益の指標ではない · 営業キャッシュフローはこの支出を差し引く前の数字で、この比率は設備が元を取れるかどうかを示さない。ファイナンス・リースで手に入れた設備や建物は含まれず、各社は現金や投資を持ち、借り入れや株式の発行もできる。出典 8 : sec.gov · Microsoft, annual report (Form 10-K) for the year ended June 30, 2026: [, sec.gov · Alphabet, quarterly report (Form 10-Q) for the quarter ended June 30, 2026: [, sec.gov · Amazon, quarterly report (Form 10-Q) for the quarter ended June 30, 2026: [ + 5全文はこちら · polora.ai