1950年は12位、2023年は29位
OECD(経済協力開発機構)は、日本やドイツからチリ、メキシコまで、主に豊かな民主主義国38か国が加わる国際機関です。現在の加盟国を1950年から毎年、生まれたときの平均寿命の長い順に並べ、アメリカの位置を追ってみます。
1950年、アメリカは68.1歳で12位でした。上にいたのはオーストラリア、カナダ、デンマーク、アイスランド、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、イギリスの11か国だけです。日本の平均寿命はアメリカより8.8年短く、チリは14.9年短かったのです。
2023年、アメリカは79.3歳で29位でした。1950年に上にいた11か国はすべて今も上にいて、さらに17か国が加わりました。1位は日本、2位は韓国です。アメリカより下に残ったのは、コロンビア、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、メキシコ、ポーランド、スロバキア、トルコの9か国だけでした。
アメリカの順位は一直線に落ちたわけではない
順位の下落は、いくつかの段階を経て進みました。
1950年代後半から1960年代半ばにかけて、アメリカの平均寿命は70歳近くで伸び悩みました。1958年にフランスが、1964年にイタリアとスペインが、1965年に日本がアメリカを追い越し、1966年にはアメリカは25位になっていました。
その後、アメリカは持ち直します。1966年から1976年までに平均寿命は2.6年延び、ほかの37か国のうち27か国より速いペースでした。順位は13位まで戻りました。
1970年代後半から順位は再び下がり始め、今度は持ち直しが長続きしませんでした。1985年にコスタリカ、1991年にドイツ、1999年にチリがアメリカを追い越しました。2002年までにポルトガル、アイルランド、韓国が、2016年にはチェコが追い越しています。ドイツとチェコにとって、これは初めての追い越しではありません。チェコは1958年に、ドイツは1963年に一度アメリカをわずかに上回り、その後どちらも何度か下に戻ってから、2023年まで続く追い越しを果たしました。2018年には、アメリカは29位になっていました。
この記事に添えた動画は上に挙げた国々の名前を示していますが、アメリカを追い越したのはこれらの国だけではありません。ギリシャ、オーストリア、ベルギー、フィンランド、ルクセンブルク、スロベニアも追い越し、2023年の時点でも上にいました。
そこへ新型コロナが来ました。2019年から2021年にかけて、アメリカの平均寿命は78.9歳から76.4歳へ2.5年縮み、順位は30位に下がりました。国連の推計では、2023年には79.3歳まで回復し、順位も29位に戻っています。

どの国も寿命を延ばしたが、アメリカの延びは下から3番目
期間全体で見れば、アメリカの平均寿命は後退していません。1950年から2023年までに11.2年延びました。それでも38か国のうち、これより延びが小さかったのはリトアニアとオランダだけで、しかもオランダは最初からアメリカより上にいました。日本は59.3歳から84.7歳へ25.5年延び、チリは53.2歳から81.2歳になりました。
つまり順位の下落は、アメリカの延びが緩やかだったあいだに、ほかの国々が追いつき、追い越していった結果なのです。

アメリカはなぜ後れを取ったのか
動画のデータが示すのは、各国がいつアメリカを追い越したかであって、その理由ではありません。理由について研究者が主に指摘するのは、アメリカ人がほかの豊かな国の人々より若くして亡くなっているという点です。
アメリカの医療政策研究機関KFFとピーターソン医療センターは2025年の分析で、日本、ドイツ、フランス、カナダ、イギリスなどの大きく豊かな国々とアメリカを比べました。それによると、1980年にはアメリカの平均寿命はこれらの国とほぼ同じでしたが、その後の数十年間、延び方が緩やかでした。若い年齢での死亡は、高齢での死亡より平均寿命を大きく押し下げます。アメリカが際立っているのはそこです。比較対象の国々では若い成人の死亡率が大きく下がったのに、アメリカでは1980年の水準に近いままでした。
分析は、いくつかの原因を挙げています。アメリカ人は心臓病、糖尿病、腎臓・肝臓・肺の病気で、高齢になる前に亡くなることが多いのです。薬物とアルコールによる死亡は急増しており、分析はその大きな原因を、オピオイド系鎮痛薬の過剰な処方と、その後に違法薬物に混入するようになった合成オピオイドのフェンタニルに求めています。殺人や、自動車事故を中心とする交通事故も、ほかの豊かな国の若者よりはるかに高い割合でアメリカの若者の命を奪っています。殺人については、武器、とりわけ銃が広く行き渡っていることを主な理由として挙げています。
コロナの時期については、アメリカ疾病対策センター(CDC)の国立衛生統計センターが独自に要因を整理しています。それによると、2020年に平均寿命が縮んだのは、主に新型コロナ、不慮の事故、心臓病、殺人、糖尿病による死亡率が上がったためです。2022年から2023年にかけて延びたのは、主に新型コロナ、心臓病、不慮の事故、がん、糖尿病による死亡率が下がったためでした。
この数字は何を測っているのか
ここでの数字は、ある年の死亡率から計算した「生まれたときの平均寿命」です。実際に誰かが生きる年数ではありません。その年の年齢ごとの死亡率が一生変わらないとしたら、生まれた赤ちゃんが平均で何年生きるかを示すものです。つまり、その年の健康状態を写した一枚の写真であって、将来の予測ではありません。
数字は、国連人口部の「世界人口推計2024年版」による推計値です。すべての国を一つの基準でまとめた国連の集計だからこそ、順位をつけることができます。ただし推計値なので、直近の年については各国が自ら出す確定値と違うことがあります。CDCによる2023年のアメリカの確定値は78.4歳で、国連の79.3歳より低くなっています。国連がこの版を公表したのは2024年7月で、CDCが2023年の確定データを出した2024年12月より数か月前でした。CDCの数字で見ると、2023年のアメリカの平均寿命は、2019年の78.8歳をまだ下回っています。
細かな順位も、どのデータを使うかで変わります。豊かな国の多くについて各国の統計機関の数字を使う世界銀行のデータでは、2023年のアメリカは29位ではなく30位、1976年は13位ではなく15位です。それでも、短い回復のあとに長い下落が続くという形はどちらも同じです。
比較には、数十年後にOECDに加わった国も含め、どの年についても現在の加盟38か国を使っています。国連のデータは、そのすべてを1950年から扱っています。韓国については、動画は1956年からの差を示しています。1950年6月に始まり1953年7月の休戦協定で戦闘が止まった朝鮮戦争の後のことで、1956年の韓国の平均寿命はアメリカより19.4年短いものでした。

- UN DESA Population Division, World Population Prospects 2024]
- UN Population Division, wpp2024 data package and release notes]
- Our World in Data, Life expectancy at birth (UN WPP 2024)]
- Our World in Data, Life expectancy]
- World Bank, Life expectancy at birth, total (years)]
- CDC National Center for Health Statistics, Mortality in the United States, 2020]
- CDC National Center for Health Statistics, Mortality in the United States, 2023]
- KFF and Peterson Center on Healthcare, What drives differences in life expectancy between the U.S. and comparable countries?]








![出典 8 : population.un.org · UN DESA Population Division, World Population Prospects 2024], github.com · UN Population Division, wpp2024 data package and release notes], ourworldindata.org · Our World in Data, Life expectancy at birth (UN WPP 2024)] + 5](https://media.cdn.polora.ai/picks/2026/10/pickrun_2f22a1e0aea94109/ao-ZwHm1kjwHnug4-slide-08--12-29.jpg)
