エヌビディアの売上はなぜデータセンター頼みになったのか

2026年7月までの四半期、エヌビディアの売上962億ドルのうち890億ドルはデータセンター向けでした。2015年4月までの四半期にはその比率は7.6%で、売上の半分強はゲーム向けでした。2022年にゲーム向けが落ち込んだことで、データセンターが逆転します。さらに2023年には、エヌビディアが生成AIに結びつけた需要で、データセンター向けの売上がひとつの四半期で倍以上になりました。

2026-10-29

何を数えているのか

エヌビディアは売上を「市場プラットフォーム」と呼ぶ区分に分けており、その線引きは会社が自分で決めています。データセンター部門は、データセンター向けに売る製品の区分です。AIなどの計算を高速に処理する半導体に加え、決算書類で同じ区分にまとめられているネットワーク製品も含まれます。この記事では、データセンター部門の売上と、それ以外の売上をすべて合わせたものとを比べます。それ以外とは、ゲーム向け、業務用の設計・映像制作向けのグラフィックス、自動車向け、そして小さなその他の売上です。2026年4月までの四半期から、エヌビディアはこの4つを「エッジコンピューティング」というひとつの区分で報告するようになり、ゲーム向けだけの数字は出さなくなりました。このとき過去の四半期も組み替えましたが、データセンター部門の数字は変わっていません。

数字はすべて当時のドル建ての売上で、物価上昇の分は調整していません。エヌビディアの会計上の四半期は、1月、4月、7月、10月の末ごろに終わり、翌月の初めにずれ込むこともあります。数字は、エヌビディアが米国証券取引委員会(SEC)に提出した四半期報告書と年次報告書から取りました。各四半期の数字は、決算発表とあわせて提出される最高財務責任者(CFO)の解説資料とも照らし合わせており、2015年4月から2026年7月までの46四半期すべてで一致しています。

データセンター向けと、それ以外のすべてを比べる · エヌビディアが決算書類で示す市場プラットフォーム · エヌビディアの売上 · データセンター · それ以外 · 高速計算用の半導体 · ネットワーク製品 · ゲーム · 業務用グラフィックス · 自動車 · その他 · 2026年4月までの四半期から、小さな4つの区分は「エッジコンピューティング」にまとめられ、ゲーム向けだけの数字は出ていない
エヌビディアが決算書類で示す市場プラットフォーム

2015〜2019年 : 伸び悩んだ脇役の事業

2015年4月までの四半期、データセンター向けの売上は約1億ドル、それ以外は約11億ドルでした。データセンター向けは2018年の終わりごろには1四半期あたり8億ドルまで伸びましたが、2019年4月までの四半期には6億ドルに下がります。エヌビディアはこの四半期の報告書で、直前の四半期と比べても前年同期と比べても減った理由として、「一部の大規模クラウド事業者と企業顧客による購入の鈍化」を挙げました。2019年10月までの四半期には、データセンター向けは売上の24.1%を占めていました。

データセンター向けは2018年まで伸び、その後減少 · エヌビディアのデータセンター向け四半期売上、2015年4月〜2019年10月、半年ごと、ドル(M : 百万) · 2015年4月 · 15年10月 · 16年5月 · 16年10月 · 17年4月 · 17年10月 · 18年4月 · 18年10月 · 19年4月 · 19年10月 · データセンター · 7億ドル · エヌビディアは2019年の減少を「一部の大規模クラウド事業者と企業顧客による購入の鈍化」と説明
エヌビディアのデータセンター向け四半期売上、2015年4月〜2019年10月、半年ごと、ドル(M : 百万)

2020年 : 成長の一部は買収によるもの

2020年4月27日、エヌビディアはメラノックスの買収を71.3億ドルで完了しました。メラノックスはサーバーとデータ保存装置を結ぶ高速通信の部品を作る会社で、2020年7月までの四半期からデータセンター部門に含まれています。その四半期、売上に占めるデータセンター向けの比率は、直前の四半期の37.0%から45.3%に上がりました。エヌビディアは、この四半期のデータセンター部門の売上のうちメラノックスが「30%強」を占めたと説明しています。新しい半導体「Ampere」の出荷が本格化したことも要因に挙げました。つまり2020年の伸びの一部は、エヌビディアがもともと持っていた事業の成長ではなく買収から来ており、それ以降のデータセンター部門の数字にはすべてメラノックスが含まれています。

2022年 : ChatGPTより前に起きた逆転

ゲーム向けの売上だけで見ると、2022年5月までの四半期の36億ドルから、同年10月までの四半期には16億ドルに落ちました。ゲーム向けはデータセンター以外の売上で最も大きな部分で、データセンター以外の合計も同じ期間に1四半期あたり45億ドルから21億ドルに減りました。エヌビディアは報告書で、ゲーム向けの落ち込みについていくつかの理由を挙げています。高いインフレと消費の弱まりを前に、取引先が在庫を減らそうとゲーム向け半導体の仕入れを絞ったこと。ウクライナでの戦争が欧州での販売に響いたことと、中国での新型コロナによる都市封鎖も挙げました。暗号資産の採掘(マイニング)がどの程度影響したかについては、「合理的に数値化するのは難しい」と述べています。

2022年7月までの四半期に、データセンター向けは38億ドル対29億ドルで、それ以外の合計を上回りました。その後も、すべての四半期で上回り続けています。データセンター向けの売上は5月から7月にかけてほとんど動かず、10月までもほぼ横ばいだったので、逆転はほぼすべて、それ以外の売上が落ちたことによるものです。これは、2022年11月下旬にChatGPTが公開される数か月前のことでした。ChatGPTの公開を含む2023年1月までの四半期には、データセンター向けの売上は直前の四半期よりわずかに減っています。

それ以外が落ち込み、データセンター向けが逆転 · エヌビディアの四半期売上、2022年1月〜2023年1月の各四半期、ドル(G : 10億) · 22年1月 · 22年5月 · 22年7月 · 22年10月 · 23年1月 · データセンター · ゲームなどそれ以外 · 36億ドル · 24億ドル · ChatGPTの公開は2022年11月下旬。2つの線が交差した数か月後だった
エヌビディアの四半期売上、2022年1月〜2023年1月の各四半期、ドル(G : 10億)

2023年 : 急な跳ね上がり

データセンター向けの売上は、2023年4月までの四半期の43億ドルから、7月までの四半期には103億ドルになりました。エヌビディアは報告書で、データセンター向けシステム「HGX」への需要は「主に大規模言語モデルと生成AIの開発によってもたらされた」と述べています。伸びを主導したのはクラウドサービス事業者と大手のネット企業だとしています。この四半期、データセンター向けは売上の76.4%を占めました。2023年1月までの四半期より後は、データセンター向けとそれ以外、2つの売上の差がどの四半期も広がり続けました。2025年1月までの四半期には、データセンター向けが売上の90.5%に達します。ただし比率は毎四半期上がったわけではなく、2025年7月までの四半期には87.9%に下がり、その後また上がりました。

データセンター向けの売上がひとつの四半期で倍以上に · エヌビディアのデータセンター向け売上、2023年4月までと7月までの四半期 · 2023年4月までの四半期 · 4.3 · 43億ドル · 2023年7月までの四半期 · 10.3 · 103億ドル · エヌビディアは報告書で、需要は「主に大規模言語モデルと生成AIの開発によってもたらされた」と述べた
エヌビディアのデータセンター向け売上、2023年4月までと7月までの四半期

現在 : エヌビディアの売上の92.5%

2026年7月までの四半期、エヌビディアの売上は合計962億ドルで、そのうちデータセンター向けが890億ドル、それ以外が72億ドルでした。エヌビディアは、データセンター向けの伸びを新しいシステム「Blackwell Ultra」の出荷の本格化によるものとしています。売上全体の約半分は、エヌビディアが「ハイパースケール」と呼ぶ顧客からのものでした。同社の定義では「パブリッククラウドと世界最大級の消費者向けネット企業」です。エヌビディアがこの区分を報告し始めたのは2026年4月までの四半期からで、7月までの四半期には、ある1社をデータセンター部門の別の顧客区分からハイパースケールに移し、直前の四半期の数字も組み替えました。そのため、ハイパースケールの比率はひとつの四半期の断面であって、流れを示すものではありません。

データセンター向けが売上の92.5%に · 2026年7月までの四半期のエヌビディアの売上 : 合計962億ドルのうちデータセンター向けが890億ドル · データセンター · それ以外 · 890億ドル · 72億ドル · 962億ドル · それ以外は2026年4月までの四半期から「エッジコンピューティング」として報告
2026年7月までの四半期のエヌビディアの売上 : 合計962億ドルのうちデータセンター向けが890億ドル

この数字からわからないこと

これらの数字は売上であって、利益ではありません。データセンター以外の売上も、途中で減った四半期はあるものの、2015年の1四半期あたり約11億ドルから、2026年7月までの四半期には72億ドルへと、期間の初めより大きくなっています。比率が変わったのは、データセンター向けがそれよりはるかに速く伸びたからです。区分はエヌビディア自身のもので、時期によって変わってきました。2020年半ばからはメラノックスがデータセンター部門に入り、2026年には小さな4つの区分がひとつにまとめられています。数字が示しているのは2026年7月までに起きたことです。この先どうなるかについては何も語っていません。

それ以外も伸びたが、データセンター向けははるかに速く伸びた · エヌビディアの四半期売上、2015年4月までと2026年7月までの四半期、単位 : 10億ドル · 2015年4月 · 2026年7月 · データセンター · それ以外 · 0.1 · 1.1 · 89.0 · 7.2 · 利益ではなく売上で、当時のドル建て。区分は時期により変わり、メラノックスは2020年半ばからデータセンター部門に
エヌビディアの四半期売上、2015年4月までと2026年7月までの四半期、単位 : 10億ドル
エヌビディアの売上はなぜデータセンター頼みになったのかエヌビディアの売上はなぜデータセンター頼みになったのかゲーム向けが落ち込み、データセンター向けは倍以上に · エヌビディアでは、ChatGPT公開の数か月前の2022年7月までの四半期に、データセンター向けがそれ以外を上回りました。2023年にはその売上がひとつの四半期で倍以上になりました。データセンター · それ以外 · 890億ドル · 72億ドル · 962億ドル · データセンター向けが売上の92.5%に · 2026年7月までの四半期のエヌビディアの売上 : 合計962億ドルのうちデータセンター向けが890億ドル · それ以外は2026年4月までの四半期から「エッジコンピューティング」として報告22年1月 · 22年5月 · 22年7月 · 22年10月 · 23年1月 · データセンター · ゲームなどそれ以外 · 36億ドル · 24億ドル · それ以外が落ち込み、データセンター向けが逆転 · エヌビディアの四半期売上、2022年1月〜2023年1月の各四半期、ドル(G : 10億) · ChatGPTの公開は2022年11月下旬。2つの線が交差した数か月後だった2023年4月までの四半期 · 4.3 · 43億ドル · 2023年7月までの四半期 · 10.3 · 103億ドル · データセンター向けの売上がひとつの四半期で倍以上に · エヌビディアのデータセンター向け売上、2023年4月までと7月までの四半期 · エヌビディアは報告書で、需要は「主に大規模言語モデルと生成AIの開発によってもたらされた」と述べた※ メラノックス : サーバーとデータ保存装置を結ぶ高速通信の部品を作る会社。2020年にエヌビディアが買収 · 2015年4月 · 2026年7月 · データセンター · それ以外 · 0.1 · 1.1 · 89.0 · 7.2 · それ以外も伸びたが、データセンター向けははるかに速く伸びた · エヌビディアの四半期売上、2015年4月までと2026年7月までの四半期、単位 : 10億ドル · 利益ではなく売上で、当時のドル建て。区分は時期により変わり、メラノックスは2020年半ばからデータセンター部門にエヌビディアの売上高からわからないこと · 売上であって、利益ではない · 2020年の伸びの一部は買収 : メラノックス(71.3億ドル)を2020年半ばからデータセンター部門に算入 · 区分はエヌビディア自身のもので、時期によって変わってきた · 示すのは2026年7月まで。この先については何も語らない出典 8 : sec.gov · Nvidia, Form 10-Q for the quarter to 28 April 2019 (SEC EDGAR)], sec.gov · Nvidia, Form 10-Q for the quarter to 26 July 2020 (SEC EDGAR)], sec.gov · Nvidia, Form 10-Q for the quarter to 31 July 2022 (SEC EDGAR)] + 5全文はこちら · polora.ai