アップルが「サービス」と呼ぶもの
アップルは売上を2つに分けています。製品(iPhone、Mac、iPad、ウェアラブルとアクセサリー)と、サービスです。最新の年次報告書によると、サービスには広告、保証と修理のプランであるAppleCare、iCloudのようなクラウドサービス、App Store、Apple Music、Apple TVなどのデジタルコンテンツや定額サービス、そしてApple PayやApple Cardのような決済サービスが含まれます。
この線引きはアップル自身が決めたもので、機械とそれ以外をきれいに分けたものではありません。iPhoneやMacが売れると、アップルはその代金の一部を、端末についてくるiCloud、Siri、マップのぶんとして、時間をかけてサービスの売上に計上します。これらのサービスには単独の値段がないため、その金額はアップルの見積もりです。アップルがこの計上を始めたのは2019年度の第1四半期で、その四半期の報告書では1年前の同じ四半期も同じ基準で組み直しました。その後の報告書も2018年度の残りの四半期を同じように組み直しているので、この記事の出発点である2018年度も同じ分け方になっています。また、ほかの開発者のアプリがApp Storeで売れた場合、サービスの売上に数えるのは利用者が払った金額ではなく、アップルが受け取る手数料だけです。
サービスは売上の4分の1で、売上総利益の5分の2を稼ぐ
2026年6月までの4四半期で、サービスの売上は1200億ドル、アップル全体の26%でした。売上原価を引いた売上総利益は、サービスが920億ドル、製品が1360億ドルです。つまりサービスが、アップルの売上総利益の40%を稼いだことになります。
ここでいう売上総利益とは、売上高からその売上原価を引いたもので、粗利益とも呼ばれます(アップルの英文の開示では gross margin)。研究開発費、販売費、管理費を引く前の段階です。アップルはこれらの費用を製品とサービスに分けていないため、営業利益や純利益のうちサービスがどれだけを占めるかは、アップルの開示書類からもこの記事からも言えません。

売上の4分の1が、なぜ利益の5分の2になるのか
同じ1ドルの売上でも、サービスは製品よりはるかに多くの売上総利益を残します。2022年度、サービスは売上1ドルにつき原価を引いて72セントを残し、製品は36セントでした。2025年度にはサービスが75セント、製品が37セントです。1ドルあたりの取り分がおよそ2倍なので、売上では4分の1でも、売上総利益ではずっと大きな割合になります。
サービスが売上総利益に占める割合は、2021年度から2025年度まで毎年度末に上がり続け、2025年度には42%に達しました。アップルの説明では、2025年度にサービスの売上総利益が金額で増えたのは、主にサービスの売上増と、サービスの構成の変化によるものです。売上に対する利益の割合が上がったのも主に構成の変化によるもので、コスト増がその一部を打ち消しました。

サービスの利益シェアが下がった2度は、どちらも製品の利益がより速く伸びた時期だった
2018年以降、サービスの売上総利益シェアが数四半期続けて下がった時期が2度あります(2022年の終わりごろにもわずかに下がりました)。どちらの時期も、サービスの売上総利益そのものは伸び続けていました。製品の売上総利益がそれ以上に速く伸びたのです。
1度目は2021年度です。製品の売上は35%増えました。アップルの年次報告書は、iPhoneの売上が伸びたのは主に、その年度の第1四半期と第4四半期に発売した新しいiPhoneと、有利な販売構成によるものだとしています。製品は売上1ドルあたりの稼ぎも増え、売上に占める売上総利益の割合は2020年度の31.5%から2021年度には35.3%に上がりました。アップルはその理由を主に、製品構成の変化、同社が「レバレッジの改善」と呼ぶもの、そしてドルに対する外国通貨高に求めています。製品の売上総利益は51.3%、サービスの売上総利益は34.4%伸びました。その結果、サービスの売上総利益シェアは2020年度の34%から2021年度の31%に下がりました。
2度目はいまです。2026年6月までの4四半期をその1年前の4四半期と比べると、サービスの売上は14.3%、製品の売上は14.2%伸び、ほぼ同じペースでした。ところが製品は売上1ドルにつき39セントを売上総利益として残し、2025年度の37セントを上回りました。製品の売上総利益は21%、サービスの売上総利益は16%伸び、サービスの売上総利益シェアは2025年度の42%から6月までの4四半期の40%へと下がりました。金額で見れば、サービスの売上総利益は2025年度の820億ドルから6月までの4四半期の920億ドルへと増え続けています。
その理由を、アップルの四半期報告書は2026年度の最初の9か月についてこう説明しています。製品の売上総利益率の上昇は「主に製品構成の違いと関税の還付によるもので、メモリーを含むコスト増で一部が相殺された」。2026年2月、米連邦最高裁は国際緊急経済権限法にもとづいて課された一部の関税を無効と判断しました。アップルは支払った関税の還付を申請し、受け取った還付は製品の売上原価から差し引く形で計上するとしています。還付の金額は開示されていないため、この記事では還付の効果と製品構成の効果を切り分けられません。

これらの数字が示すこと、示さないこと
アップルの会計年度は9月の最終土曜日に終わります。四半期を暦とそろえるため、5、6年に一度、第1四半期に1週間を足します。2023年度がその年で、その四半期を含む4四半期の合計は通常より1週間長くなります。シェアの分母と分子は同じ期間から取っているので、サービスと製品の比較は同じ条件のままです。ただ、その1週間の構成が普段と違っていれば、シェアがわずかに動くことはあります。その期間の金額の合計には、この1週間分が含まれています。
この記事のデータを集めた2026年秋の時点で、アップルの最新の四半期報告書は6月までの四半期を扱うものでした。9月までの四半期の決算が出れば、より新しい4四半期の数字が得られます。ここで見た動きは過去の記録であり、シェアがこの先どちらへ向かうかを示すものではありません。
数字の作り方
2017年の終わりから2026年6月までの各四半期について、アップルが米証券取引委員会に提出した四半期報告書と年次報告書から、製品とサービスそれぞれの売上高と売上原価を取りました。年次報告書には1年分の数字しか載らず、最後の四半期だけの数字はないため、各第4四半期は通年から最初の9か月を引いて求めています。各数値は連続する4四半期の合計です。四半期ごとの数字はすべて、第4四半期の数字も直接載っているアップルの決算発表の損益計算書と照合し、すべて一致しました。アップルが年次報告書に載せている利益率も私たちの計算と一致しています。2025年度はサービスが75.4%、製品が36.8%で、上に挙げた2020年度と2021年度の製品の数字も同じです。2026年度の最初の9か月の製品の利益率もアップルは39.9%としており、同じ9か月についての私たちの計算と一致します。本文の39セントは6月までの4四半期についての数字なので、この9か月とは期間が異なります。
- Apple Inc., Form 10-K for fiscal 2025 (SEC EDGAR)]
- Apple Inc., Form 10-K for fiscal 2021 (SEC EDGAR)]
- Apple Inc., Form 10-Q for the quarter to June 2026 (SEC EDGAR)]
- Apple Inc., Form 10-Q for the quarter to December 2018 (SEC EDGAR)]
- Apple Inc., quarterly and annual filings, 2017 to 2026 (SEC EDGAR)]
- Apple Inc., earnings releases, January 2019 to July 2026 (latest shown, SEC EDGAR)]








![出典 6 : sec.gov · Apple Inc., Form 10-K for fiscal 2025 (SEC EDGAR)], sec.gov · Apple Inc., Form 10-K for fiscal 2021 (SEC EDGAR)], sec.gov · Apple Inc., Form 10-Q for the quarter to June 2026 (SEC EDGAR)] + 3](https://media.cdn.polora.ai/picks/2026/10/pickrun_98eccc9ceb804732/fN-tPYGuK_fh7nFM-slide-08.jpg)
