手数料無料の株アプリはどこで稼いでいるのか

稼ぎの大半は、無料の株の売買からではありません。米ロビンフッドの2025年の売上高は44.73億ドルで、株の売買による分は3.02億ドルでした。オプション取引、暗号資産、貸付や預かり現金の利息のほうがはるかに大きく稼いでいます。

ビジネスと経済 · 2026-10-04

無料の株取引は、売上のごく一部にすぎない

売買手数料のかからないアプリがどうやって稼いでいるのかと聞かれたら、たいていの人は「稼いでいない」か「1回の取引ごとに少しずつ取っている」と答えるでしょう。米国の株取引アプリ、ロビンフッド(Robinhood)の2025年の年次報告書は、別の答えを示しています。この年の売上高は44.73億ドル。そのうち、このアプリの代名詞である株の売買が生んだのは3.02億ドルでした。

残りの大半は、株を買う以外のことをする顧客から来ています。オプションや暗号資産を取引する人。お金を借りて投資する人。口座に現金を置いたままにしている人。月額のサブスクリプションを払う人。こうした稼ぎ口のほとんどは、株の売買より多くの売上を会社にもたらしていて、サブスクリプションもそれに迫ります。こうして並べてみると、「無料」は贈り物ではなく、誰が払うのかを振り分ける仕組みに見えてきます。

ロビンフッドの売上のうち、株の売買はごく一部 · ロビンフッドの2025年の売上、総額44.73億ドルの内訳 · 株の売買 · 3.02億ドル · その他の売上すべて · ロビンフッドの2025年の年次報告書より
ロビンフッドの2025年の売上、総額44.73億ドルの内訳

ロビンフッドの2025年の売上はどこから来たか

ロビンフッドの2025年の年次報告書は、売上をおおよそ次のように分けています。オプション取引 : 11.23億ドル。暗号資産取引 : 9.01億ドル。その他の取引(主に予測市場の契約と即時出金の手数料) : 3.02億ドル。お金を借りて投資する顧客への貸付(信用取引の融資)の利息 : 5.73億ドル。顧客保護の規則に従って分けて保管している現金・有価証券・預け金の利息 : 3.19億ドル。顧客が使わずに置いている現金を提携銀行に預けて得る利息のうち、会社の取り分 : 2.29億ドル。顧客の株を他の投資家に貸し出して得た収入(顧客への分配後) : 1.9億ドル。有料サービス「Gold」の月額料金 : 1.79億ドル。そして株の売買 : 3.02億ドル。

利息をすべて合わせると15.14億ドルで、全体のおよそ三分の一にあたります。株の売買を除くほぼすべての項目は、顧客が株を買うだけでなく、それ以外の何かをすることで成り立っています。

オプション、暗号資産、信用取引の融資は、いずれも株の売買を上回る · ロビンフッドの2025年の項目別売上 · オプション取引 · 暗号資産取引 · 信用取引の融資利息 · 分別保管資産の利息 · その他の取引 · 株の売買 · キャッシュ・スイープ利息の取り分 · 株の貸し出し · Goldの月額料金 · 11.23億ドル · 9.01億ドル · 5.73億ドル · 3.19億ドル · 3.02億ドル · 2.29億ドル · 1.9億ドル · 1.79億ドル · 年次報告書の主な項目のみのため、合計は総額44.73億ドルにならない
ロビンフッドの2025年の項目別売上

置きっぱなしの現金は、アプリのために稼いでいる

証券口座で投資に回されずに置かれているお金も、証券会社にとっては眠ってなどいません。ロビンフッドはその多くを提携銀行のネットワークに移します。これを「キャッシュ・スイープ」と呼んでいます。銀行はそのお金に利息を払い、ロビンフッドは利息の一部を顧客に渡して、差額を手元に残します。2025年、銀行に移された現金は平均で約309億ドル、ロビンフッドが手にした差額は2.29億ドルでした。会社はこれを年0.74%の利回りとして報告しています。

ロビンフッドはさらに、顧客の資金に関する規則に従って分けて保管しなければならない現金・有価証券・預け金からも利息を得ています。2025年は3.19億ドルでした。ただし、その裏付けとなる資産には決済機関への預け金も含まれるため、すべてが顧客の置きっぱなしの現金から来ているわけではありません。従来型の証券会社では、こうした現金の役割はもっと大きくなります。米大手証券チャールズ・シュワブの2025年の年次報告書は、顧客の投資に回されていない現金を、利息を生む資産のための「主要な資金源」と呼んでいます。

なぜ取引業者は、あなたの注文にお金を払うのか

米国の株取引アプリで「買う」を押しても、注文はふつう証券取引所には行きません。行き先は「マーケットメーカー」や「ホールセラー」と呼ばれる大手の取引業者で、この業者が自分の手持ちから株を売ります。業者は、株を買う値段と売る値段のわずかな差(スプレッド)で稼ぎ、注文を回してくれた見返りとしてその一部をアプリに払います。これを「ペイメント・フォー・オーダーフロー(注文回送の対価、PFOF)」と呼びます。

ロビンフッドが自ら開示した2026年第2四半期の条件によると、同社は通常の取引時間中の株の注文について、スプレッドの12.35%を受け取っています。オプションでは1契約ごとに決まった額を受け取り、その額はそのオプションのスプレッドがふだんどれだけ広いかによって0.30ドルから1.20ドルの間で決まります。オプションはロビンフッドの売上で最も大きな単独の項目です。ただ、この開示が説明しているのは注文1件ごとの支払いの仕組みであって、オプションが合計で多く稼ぐ理由ではありません。合計額は顧客がどれだけオプションを取引するかにも左右され、報告書はこの二つを分けて示していません。

株はスプレッドの一部、オプションは1契約ごとの定額 · 注文の回送で取引業者がロビンフッドに払う額(2026年第2四半期) · ロビンフッドが受け取る額 · 株(通常の取引時間) · オプション · スプレッドの12.35% · 1契約0.30〜1.20ドル。スプレッドの通常の幅で決まる · 注文1件ごとの条件のみ。オプションの売上合計は、顧客がどれだけ取引するかにも左右される
注文の回送で取引業者がロビンフッドに払う額(2026年第2四半期)

お金を借りる人と、貸し出される株も払っている

手持ちの現金を超えて株を買うためにアプリからお金を借りる顧客は、その借入に利息を払います。ロビンフッドでは、この信用取引の融資残高が2025年に平均約114億ドルありました。会社はそこから5.73億ドルを稼ぎ、利回りは5.01%と報告されています。借り手の払う利息だけで、株の売買全体より大きな収入源になっているということです。

証券会社は、顧客の株を値下がりに賭けたい投資家に貸し出して、手数料を受け取ることもできます。ロビンフッドはこの方法で、2025年、顧客への分配を差し引いて1.9億ドルを得ました。

サブスクリプションと暗号資産は別の話

ロビンフッドは「Gold」という月額のサブスクリプションも売っていて、2025年には1.79億ドルの収入になりました。暗号資産はそれだけで9.01億ドルと大きな項目です。その大部分は株やオプションの注文回送の対価とは仕組みが違い、報告書でも「取引リベート」という別の名前で計上されています。会社は一部の暗号資産の注文について、代わりに顧客が直接手数料を払う方式も始めました。いずれにせよ、そのお金を払っているのは暗号資産を取引する人で、株を買う人ではありません。その他の取引による3.02億ドルも同じで、主に予測市場での賭けと即時出金の手数料から来ています。

証券会社によって、誰が払うかの配分は違う

ロビンフッドの内訳が、どのアプリにも当てはまるわけではありません。米国最大級の証券会社チャールズ・シュワブでは、2025年の売上239.21億ドルのうち、純金利収入が117.5億ドルと約半分を占めました。取引業者からの支払いは19.3億ドルで約8%。投資信託や口座の管理手数料が65.06億ドル。一部の取引でいまも取っている売買手数料は17.97億ドルでした。

それでも、両社に共通する傾向がひとつあります。オプションの注文のほうが株の注文より多く稼ぐことです。シュワブが取引業者から受け取った支払いのうち、11.67億ドルがオプションの注文から、7.63億ドルが株の注文から来ていました。

シュワブでは、2025年の売上の約半分が利息 · チャールズ・シュワブの2025年の売上、総額239.21億ドルの内訳 · 純金利収入 · 投資信託や口座の管理手数料 · 取引業者からの支払い · 売買手数料 · 117.5億ドル · 65.06億ドル · 19.3億ドル · 17.97億ドル · その他の売上 · シュワブは一部の取引でいまも売買手数料を取っている
チャールズ・シュワブの2025年の売上、総額239.21億ドルの内訳

注文の対価を受け取るアプリでは、売買価格が不利になるのか

この点には議論があり、どちらの側にも根拠があります。ロビンフッドは開示資料の中で、この支払いを受け取ることは顧客に最良の価格を届けることを「妨げない」と述べています。同じ資料には、米国の規制当局の検査担当部署が、証券会社の受け取る支払いと顧客が得る価格の間に「トレードオフが生じうることを確認している」とも書かれています。

2022年、米証券取引委員会(SEC)は、個人投資家の注文の90%超が少数のホールセラーに回っていると述べました。注文ごとに競争入札を義務づける規則案を後押しするため、SECの担当部署は、開かれた競争があれば得られたはずの額と比べて、個人投資家が年に約15億ドルを取り逃していると推計しました。これは推計であって実際に測った損失ではなく、業界側は異を唱えました。SECはこの規則案を採択しないまま2025年6月12日に撤回し、撤回は6月17日に発効しました。英国については、CFA協会が引用した調査で、少額の取引のうち提示された最良価格で約定した割合が、2010年から2014年の間に約65%から90%超に上がったことがわかっています。この期間には、英国の規制当局がこの慣行を事実上認めないと判断した2012年が含まれます。

欧州では禁止、英国は見直し中、米国では合法

欧州連合(EU)は市場規則の改正で、個人顧客の注文から回送の対価を受け取ることを禁止しました。この改正は2024年3月28日に発効しています。各国は自国の証券会社の国内顧客について2026年6月30日まで適用を免除でき、それを使ったのはドイツだけでした。2026年7月1日からは禁止がEU全域に適用されています。ドイツの金融監督当局BaFinは2026年7月22日、どのようなビジネスモデルなら引き続き認めるかを示しました。

英国では、この慣行を禁じる法律が作られたことはありません。2012年に当時の規制当局が、こうした支払いを受け取れば、支払いを得ることと顧客ごとに最良の価格を届けることとの間で利益が相反すると結論づけ、それが事実上の禁止となりました。2026年3月、英金融行動監視機構(FCA)はこの立場を見直すと表明しました。2026年5月の規制業務計画でもまだ見直し中とされ、何を提案するかは示されていません。米国ではこの慣行はいまも合法です。証券会社は、上で引用したような四半期ごとの報告書で開示することが義務づけられています。

EUは禁止、英国は見直し中、米国は合法 · 個人顧客の注文回送の対価(PFOF)の扱い、2026年時点 · 現状 · 主な日付 · 欧州連合 · 英国 · 米国 · 個人顧客向けは禁止 · 2024年3月28日発効、2026年7月1日からEU全域 · 2012年の規制当局の判断で事実上不可、禁止する法律はなし · 2026年3月に見直しを表明、具体案はまだ · 合法、証券会社に四半期ごとの開示義務 · 禁止なし · EUの適用免除を使ったのはドイツのみ。2026年6月30日に終了
個人顧客の注文回送の対価(PFOF)の扱い、2026年時点

無料の株取引の代金を払っているのは誰か

株を買う人にとって、手数料無料の取引は本物です。けれどもアプリは慈善事業ではなく、お金はどこかから来ています。その一部は株の注文そのものから、注文を受ける取引業者の支払いという形で来ます。はるかに多くは、オプションを取引する人、信用取引でお金を借りる人、暗号資産を取引する人、そして持ち主よりアプリのほうが多く稼いでいる口座の現金から来ています。報告書からわかるのは、売上がどこから来ているかです。ある顧客の払ったお金が別の顧客の無料取引をまかなっていることや、特定の注文が不利な価格で約定したことまでは示していません。2025年のロビンフッドでは、株の売買は44.73億ドルのうち3.02億ドルでした。代金の大半は、別のところで払われていたのです。

手数料無料の株アプリはどこで稼いでいるのか手数料無料の株アプリはどこで稼いでいるのか2025年、ロビンフッドの売上44.73億ドルのうち、株の売買は3.02億ドルでした。 · 残りの大半は、株を買う以外のことをする顧客から来ています。ロビンフッドの2025年の年次報告書より。ロビンフッドは2025年、顧客の眠る現金の利息で2.29億ドルを得た · 現金を提携銀行に移す「キャッシュ・スイープ」で、利息の一部を顧客に渡し、差額を残す · ※ キャッシュ・スイープ : 未投資の現金を、利息を払う提携銀行へ移すこと取引業者は、あなたの注文の対価をアプリに払ってよいのか · 欧州連合 : 個人顧客向けは禁止、2026年7月1日からEU全域で · 英国 : 2012年から事実上認められず、2026年3月から見直し中 · 米国 : 合法、証券会社に四半期ごとの開示義務ロビンフッドの稼ぎの大半は、無料の株の売買からではありません。 · 報告書でわかるのは、売上の出どころです。ある顧客の支払いが別の顧客の無料取引をまかなっているかどうかまでは示されていません。出典 14 : sec.gov · Robinhood Markets, Inc. Form 10-K for fiscal year 2025, nasdaq.com · Robinhood reports fourth quarter and full year 2025 results, sec.gov · The Charles Schwab Corporation Form 10-K for fiscal year 2025 + 11全文はこちら · polora.ai

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This is a solid manuscript, and my search confirms its core architecture while flagging one real discrepancy worth flagging to readers. What checks out cleanly: The SEC withdrawal is accurate and well-dated. The SEC formally withdrew certain notices of proposed rulemaking issued between March 2022 and November 2023, and does not intend to issue final rules with respect to these proposals, with the Federal Register date of June 17, 2025, and the underlying Commission action on June 12, 2025. This matches the manuscript's "withdrew... on 12 June 2025" line exactly, confirmed independently via Schwab's own 10-K: On June 12, 2025, the SEC withdrew certain notices of proposed rulemaking issued between March 2022 and November 2023, which the Company had been evaluating. The withdrawn proposals included the December 2022 equity market structure rule proposals, "Order Competition Rule" and "Regulation Best Execution". Good, traceable, two independent filers confirm it. One real number mismatch I found — worth flagging to the editor: Robinhood's own 10-K table (SEC filing) gives different equities and "other" revenue figures than the manuscript states. Per the filing itself: Opt…

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