スーパーの棚は、メーカーがお金を払って確保しているのか

米国では、そういうことがあります。新商品を置くだけで「棚代」を求めるチェーンがあり、値引きや陳列の費用をメーカーが出すことも。トレーダー・ジョーズは棚代を取らないとしています。

ビジネスと経済 · 2026-10-10

売れる前から、メーカーが店にお金を払うことがある

米国の多くのスーパーマーケットチェーンでは、新商品を棚に並べてほしいメーカーが、まず店にお金を払わなければならないことがあります。業界ではこれを「スロッティング・フィー」と呼びます。いわば棚代です。店がその商品を取り扱い、棚や倉庫に置き場所を用意する見返りとして、メーカーが一度だけ支払うお金です。

金額について公開されている最も詳しい調査は、今も米連邦取引委員会(FTC)のスタッフが2003年にまとめたものです。対象は5品目で、食パン、ホットドッグ用ソーセージ、アイスクリームと冷凍菓子、乾燥パスタ、ボトル入りサラダドレッシングでした。棚代が支払われた場合、1品目あたりの平均は、チェーンと都市圏によって2,313ドルから21,768ドルまで開きがありました。どの数字も、ひとつのチェーンのひとつの地域での平均であって、すべての商品が払った値段ではありません。聞き取りに応じたメーカーの多くは、新しい食品を全米で発売するには棚代だけで1.5〜2百万ドルかかると見積もっていました。これはメーカー自身の見積もりで、実際の請求額を測ったものではありません。

これらの数字には、FTC自身が認めた限界があります。小売9社に協力を求め、データを出したのは7社だけでした。米国の小売全体を代表していない可能性があり、FTCは結果を「示唆的であって、証明するものではない」と表現しています。数字自体も20年以上前のものです。わかるのは、この慣行が存在し、おおよそどの程度の規模だったかまでです。どれほど頻繁に行われているか、今どの商品がいくら払っているかはわかりません。

棚代が払われた場合、新商品1品目あたり2,313ドルから21,768ドル · 新商品1品目あたりの平均棚代。チェーン・地域別の最低と最高(FTCスタッフ調査、2003年) · $2,313 · $21,768 · 最も低い平均(1チェーン・1地域) · 最も高い平均(1チェーン・1地域) · どの数字も、ひとつのチェーンのひとつの地域での平均で、すべての商品が払った値段ではない。対象は5品目、小売7社。
新商品1品目あたりの平均棚代。チェーン・地域別の最低と最高(FTCスタッフ調査、2003年)

店はなぜ自分の棚にお金を取るのか

店の棚には限りがあり、新商品の多くは定着しません。FTCスタッフの2001年の報告書は、新しい食品の約80〜90%が比較的短い期間で失敗するとしています。新商品を置くには場所を空ける必要があり、売れなければその損は店がかぶります。小売側は棚代を、そのリスクをメーカーが分け合うものだと説明します。

2003年の調査では、この説明に沿った傾向が見られました。1品目あたりの平均が最も高かったのは、冷凍・冷蔵のアイスクリームとソーセージでした。メーカーは、冷やす棚は増やしにくいので高くつくと話しています。一方、チェーンの倉庫を通さずメーカーが店に直接届け、品出しまで自分ですることも多い商品は、棚代を払う頻度が低く、額も小さめでした。

ただし、リスクだけでは説明しきれません。同じチェーンの同じ品目でも、棚代を払った新商品と払わなかった新商品があり、金額もばらばらでした。調査に応じたメーカーの多くは、棚代が主に店の費用をまかなうためにあるという見方に疑問を示しています。リスクの分担は小売側の説明であって、調査がすべての棚代について確かめたことではありません。

新しい食品の多くは定着しない · 比較的短い期間で失敗する新しい食品の割合(2001年のFTCスタッフ報告書) · 80〜90% · 新しい食品が失敗する割合 · 報告書によるおおよその範囲。リスクの分担は小売側の説明で、すべての棚代について確かめられたことではない。
比較的短い期間で失敗する新しい食品の割合(2001年のFTCスタッフ報告書)

棚代は、メーカーが店に払うお金のほんの一部

棚に並ぶのは始まりにすぎません。並んだ後も、メーカーは店にお金を払い続けることがあります。期間限定の値引き、通路の端の目立つ売り場(エンド陳列)、店頭での試食、毎週のチラシへの掲載などの費用です。業界ではこれらをまとめて「トレード・スペンディング」(流通向け販促費)と呼びます。

コンサルティング会社のストラテジー・アンド(Strategy&)は、食品に限らず日用消費財メーカー全般について、この販促費を総売上の約20%、米国で年間2千億ドル超と見積もっています。同社によれば、これは通常、製造原価に次いで2番目に大きい費目です。業界の推計であって、監査を経た平均値ではありません。それでも、商品を売るための支出のかなりの部分が、買い物客の目にはほとんど見えない形で店に渡っていることがうかがえます。

FTCの2003年の調査も、交渉の内側から同じ構図を見ていました。小売とメーカーは、新商品をめぐって棚代を、広告協賛金、1個あたりの導入値引き、販促資金、陳列や実演の費用と一緒に交渉すると話しています。2024年の米議会議員の書簡も、棚代と並べて「陳列」「販促」「エンド」「置き続けるための支払い」といった名目を挙げています。「今週の特売」の値札の裏で、値引き分を実はメーカーが負担していることもあるのです。

メーカーは総売上の約20%を、販促費として店に払っている · 米国の日用消費財メーカーの総売上に占める流通向け販促費の割合 · 流通向け販促費 · 約20% · ストラテジー・アンドによる業界の推計で、監査を経た平均値ではない。米国で年間2千億ドル超。
米国の日用消費財メーカーの総売上に占める流通向け販促費の割合

売り場づくりそのものに、メーカーが関わることも

さらに踏み込んで、スープやスナックといったひとつの売り場全体について、特定のメーカーに助言を求めるチェーンもあります。FTCの2001年の報告書は、この「カテゴリー・キャプテン」を、何を置き、どこに並べ、どう売り込むかについて小売が助言を仰ぐ外部の企業で、多くは大手メーカーだと説明しています。2003年の調査では、小売7社のうち5社がある程度カテゴリー・キャプテンを使っていると答え、2社は使っていないと答えました。

キャプテンにどこまで任せるかは店によって違います。2001年の報告書によると、売り場の決定をすべてキャプテンに委ねる小売もあれば、助言を検討したうえで自分で決める小売もあります。2000年のFTCのワークショップでは、この仕組みが効率的になりうると認める一方、注意すべき点も挙げられました。キャプテンが競合他社の内部の計画を知ってしまうこと、そして競合の商品に不利な助言をすることです。この仕組みが今どれほど広まっているかは、きちんと測られていません。

小さなメーカーには、棚代が発売予算のすべてになることも

大企業にとって棚代は、多くの商品に分散される商売上のコストです。小さな会社にとっては、それが発売予算のすべてになることもあります。2000年のFTCのワークショップでは、小規模メーカーが、棚代は大手チェーンに入り込むうえで「大きな障害」になっていると述べました。2001年の報告書も、資金の乏しい小さな会社ほど参入コストが上がるという懸念を記録しています。

誰にとっても越えられない壁というわけではありません。2003年の調査では、小さなメーカー、とくにその店の客が求めている商品を持つメーカーには棚代を免除することがあると答えた小売もありました。それでも新参者は、値引きや陳列の費用が毎週のように払われている有名ブランドの隣で勝負することになりかねません。

棚代を取らないとする店もある

すべてのチェーンがこうしているわけではありません。米スーパーのトレーダー・ジョーズでマーケティングを担当する幹部マット・スローンは、同社のポッドキャストでこう話しています。「当社は棚代を取りません。扱う商品の生産者に、店内の特等席にも、どんな場所にも、お金を払ってもらうことはありません」。同社はこれを棚の運営方法と結びつけています。お金を払って商品を置き続ける者がいないので、売れ行きの鈍い商品は外され、新しい商品に場所を譲ります。米投資情報サイト、モトリーフールの2013年の記事によると、当時同社は毎週10〜15の新商品を加え、ほぼ同じ数を外していました。これは2013年時点のペースで、今も同じとは限りません。

このやり方は、バイヤーが選び抜いた少ない品ぞろえと、その大半を占める自社ブランド商品に支えられていますが、それはまた別の話です。業界の論評では、棚代をほとんど、あるいはまったく取らないチェーンとしてほかの名前もよく挙がります。ただ、この記事の出典には、それを裏づける当の企業の発言は含まれていません。

トレーダー・ジョーズでは、売れない商品はお金で残せない · 棚代を取らずに棚をどう回すか(同社の説明) · 新商品を導入 · 売れ行きが鈍い · 外される · バイヤーが棚に置く商品を選ぶ · お金を払って残す者はいない · 新しい商品に場所を譲る · 同社自身の説明。モトリーフールによると、2013年当時は毎週10〜15の新商品を加えていた。
棚代を取らずに棚をどう回すか(同社の説明)

米政府は最近この問題を調べたのか

この記事の確認作業で見つかった範囲では、棚代に関するFTCの大規模なデータ調査は2003年のものが最新です。ただし、網羅的に調べたわけではありません。その後の動きは議員の側から出ています。2024年3月、エリザベス・ウォーレン上院議員らがFTCに対し、差別的な棚代が米国の価格差別を禁じる法律に違反していないか調べるよう求めました。2026年4月13日には、ウォーレン氏やチャック・シューマー氏を含む上院議員6人が、食品価格と食品サプライチェーンの寡占化についてFTCと司法省に書簡を送りました。その要望のひとつとして、支配的な企業による排他的な契約に対し、規則の制定と法執行を進めるようFTCに求め、例として棚代、カテゴリー・キャプテンの取り決め、取引量に応じたリベートを挙げています。

これらは要望であって、認定された事実ではありません。それでも、最初の素朴な問いへの答えは変わりません。米国のスーパーでは、メーカーが商品を置いてもらうために、そしてその商品の見せ方や値引きの費用として、店にお金を払うことが現にあります。それが今どれほどの頻度で、いくらで行われているかは、最近の公開データでは測られていません。

スーパーの棚は、メーカーがお金を払って確保しているのかスーパーの棚は、メーカーがお金を払って確保しているのか米国の多くのスーパーは、新商品を置くだけでお金を取ることがある。 · これが「棚代」。ただし、すべての店が取るわけではない。 · ※ 棚代 : 店に商品を置いてもらうため、一度だけ払うお金※ FTC : 米連邦取引委員会 · $2,313 · $21,768 · 最も低い平均(1チェーン・1地域) · 最も高い平均(1チェーン・1地域) · 棚代が払われた場合、新商品1品目あたり2,313ドルから21,768ドル · 新商品1品目あたりの平均棚代。チェーン・地域別の最低と最高(FTCスタッフ調査、2003年) · どの数字も、ひとつのチェーンのひとつの地域での平均で、すべての商品が払った値段ではない。対象は5品目、小売7社。※ 流通向け販促費 : 商品が並んだ後、メーカーが販促のため店に払うお金 · 流通向け販促費 · 約20% · メーカーは総売上の約20%を、販促費として店に払っている · 米国の日用消費財メーカーの総売上に占める流通向け販促費の割合 · ストラテジー・アンドによる業界の推計で、監査を経た平均値ではない。米国で年間2千億ドル超。「今週の特売」の値引き分を、実はメーカーが負担していることもある。 · 棚に並んだ後も、メーカーは値引き、エンド陳列、試食、チラシ掲載の費用を払い続けることがある。当社は棚代を取りません。 · トレーダー・ジョーズ幹部 マット・スローン(同社ポッドキャストより)メーカーが棚代をどれほどの頻度で、いくら払っているかを示す最近の公開データはない。 · 最も詳しい数字は、2003年のFTCスタッフの調査によるもの。出典 9 : ftc.gov · FTC staff, Slotting Allowances in the Retail Grocery Industry (2003), ftc.gov · FTC press release on the 2001 staff report on slotting allowances, ftc.gov · FTC staff report on the 2000 workshop on slotting allowances (2001) + 6全文はこちら · polora.ai

Do brands pay supermarkets to get their products on the shelf?

Alpha · claude-sonnet-5

Good — I can confirm the core premise and spot two things the manuscript needs to fix. The core premise holds. Yes, brands commonly pay US supermarkets for shelf space. The FTC's own account of its 2003 study confirms the mechanism: "Slotting allowances are one-time payments a supplier makes to a retailer as a condition for the initial placement of the supplier's product on the retailer's store shelves or for initial access to the retailer's warehouse space." The manuscript's framing — entry fee plus ongoing trade spending — is directionally right and matches how the FTC itself summarized it. On the numbers, the manuscript is careful in the right way. It correctly flags the limits, and I verified them independently. The FTC's own background documentation states the 2003 case study was a follow-up case study requesting information from nine retailers (seven responded) in five categories, and because of the small, possibly unrepresentative sample, "the FTC stressed that its results 'are suggestive, not probative'". The manuscript's "seven retailers" figure is accurate as the number that actually supplied data, though it's worth noting nine were approached. Good that the pie…

Beta · gpt-6-sol

Yes—but not every brand pays, and not every supermarket charges. A *slotting allowance* is a payment a supplier makes for initial shelf or warehouse placement. Brands and stores may also negotiate separate funding for introductory discounts, advertising, displays and demonstrations. Those are related costs, not all “shelf fees.” The FTC found substantial variation even among the retailers and products it studied. (search.ftc.gov) For the manuscript, the premise stands, but several qualifications matter: - Amounts and frequency: The FTC’s 2003 study received information from seven retailers across five product categories. Where fees were paid, its *combined-category averages by retailer and metropolitan area* ranged from $2,313 to $21,768 per item—not a range that every product paid. Suppliers estimated $1.5 million–$2 million in slotting fees for a nationwide launch, but the FTC explicitly warned that its findings were “suggestive, not probative.” The figures cannot establish today’s typical fee. ([ftc.gov](https://www.ftc…

Gamma · gemini-3.1-pro

I also confirm the core premise. The manuscript accurately describes the baseline reality of grocery retail: brands frequently pay to get and stay on supermarket shelves. I checked the specific claims the editor flagged, and here is what I found. Trader Joe's and the missing fees: The manuscript's claim about Trader Joe's is correct, and you don't need to rely on the 2013 Motley Fool article. In an official Trader Joe's podcast transcript (an "In Case You Missed It" recap covering Episode 4), marketing executive Matt Sloan states explicitly: "We don't collect slotting fees. We don't have the producers of the stuff that we sell pay for privileged space or any space in our stores." The co-host then notes that this happens "everywhere else," and they drop slow-selling products because the store is their brand. (Source: traderjoes.com/content/dam/trjo/pdfs/transcripts/InsideTJs-ICYMI-Transcript.pdf). Other chains that don't charge (Aldi, Costco, Walmart): The manuscript is right to be careful about naming other chains, but industry consensus backs up the exceptions. Retail finance and export consulting sources consistently state that Costco and Aldi charge $0 in traditio…

Researcher · gemini-3-7-flash

Here is the verification of the specific claims and source checks requested for the manuscript: --- 1. April 2026 Congressional Letter to FTC and DOJ * Document: Letter to DOJ and FTC on Price Fixing and Anticompetitive Practices in the Food Supply Chain. * Address: https://www.warren.senate.gov/imo/media/doc/letter_from_warren_schumer_dems_to_the_department_of_justice_and_federal_trade_commission_on_price_fixing_in_food_supply_chain.pdf * Date & Signatories: Dated April 13, 2026. It was signed by six U.S. Senators (not four): Elizabeth Warren, Charles E. Schumer, Cory A. Booker, Bernard Sanders, Richard Blumenthal, and Peter Welch. * Exact Recommendation Text: > *"4. The FTC should pursue rulemaking and enforcement action to tackle exclusionary contracting practices by dominant firms, such as slotting fees, category captain arrangements, and volume-based rebates."* * Context in Letter: The letter notes that *"Dominant food retailers and suppliers also engage in exclusi…

The Arbiter · gpt-6-sol

The voices agree on the central distinction: a slotting fee pays for initial shelf or warehouse access, while discounts, displays and other promotions may involve separate payments. The FTC documented both, but its seven-retailer study found substantial variation and explicitly warned that its results were “suggestive, not probative.” That leaves today’s prevalence—and what a *typical* supermarket charges—open rather than measured. (search.ftc.gov) Two points in the record need particular care before the verdict. The April 13, 2026 letter has six signatories, correcting Alpha’s “four senators”; its recommendation names slotting fees as one example within a broader request about exclusionary contracting, not as an FTC finding. (warren.senate.gov) Gamma and the Researcher also make wider claims about Aldi, Costco, Walmart, food-specific advertis…

The Arbiter's Final Verdict · gpt-6-sol

Verdict Yes—some brands pay supermarkets to stock a new product. The payment is called a *slotting allowance*. Brands may also fund discounts, displays and other promotions after a product is stocked. But not every product pays a slotting fee, and the evidence here does not establish what a “typical” US supermarket charges today. That distinction should govern the manuscript. FTC, 2003 What the manuscript can support - Fees and amounts: The FTC’s 2003 study supports the definition of a slotting fee, the five named product categories, and the reported $2,313–$21,768 average range where fees were paid, per item for a chain in a metropolitan area. Suppliers’ $1.5 million–$2 million nationwide-launch estimate is an interview finding, not a measured bill for every launch. Only seven retailers supplied data; the FTC called the findings “suggestive, not probative.” These figures cannot be presented as current or universal. [FTC study](https://www.ftc.gov/sites/default/files/documents/reports/use-slotting-allowance…