長い時間をかけて、少しずつ延びた試合
1920年、メジャーリーグ(MLB)のレギュラーシーズンで、9イニングの試合は平均108分でした。その後この数字は延びていきますが、一定のペースで延びたわけではありません。1959年に平均は2時間台の後半に入り、そこから20年ほどはほとんど延びませんでした。1980年の平均(153.8分)は、1960年の平均(153.5分)とほぼ同じです。1980年代から再び延び始め、2014年に3時間を超え、2021年には190分と最長に達しました。この年は、9イニングの試合の67%が3時間以上かかっています。1920年から2021年までに、試合は合計で82分長くなりました。
これらの平均は、全試合の記録を公開している米国の団体レトロシートの試合ログから計算したものです。対象は、アメリカン・リーグとナショナル・リーグのレギュラーシーズンで、試合時間が記録されており、アウト数が51から54だった試合です。このアウト数が9イニングの試合にあたり、ホームチームがリードしていて9回裏の攻撃を行わない場合も含みます。アウト数は正規の試合かどうかを見分ける目安にすぎず、それぞれの試合がなぜ終わったのかまではわかりません。アウト数がこれより多い試合(延長戦)や少ない試合(途中で打ち切られた試合の多く)は対象外となり、2020年と2021年に行われた7イニング制のダブルヘッダーも除いています。ポストシーズンの試合は含みません。2021年から2025年については、計算した平均を「何時間何分」の形に丸めると、AP通信が伝えたMLB自身の公表値と一致します。ただし、3時間を初めて超えた年については食い違いがあります。AP通信によると、MLBの平均が初めて3時間を超えたのは2016年です。試合ログでは、2014年の時点で182分に達しており、2015年に176分へ下がったあと、2016年に181分へ戻っています。

試合が長くなった理由
この問いを長い期間にわたって調べた研究に、レトロシートの創設者デビッド・W・スミスが、アメリカ野球学会(SABR)の学術誌『ベースボール・リサーチ・ジャーナル』に書いた論文があります。スミスは「試合が長くなった最大の要因は投球数だ」と結論づけ、三振の増加と、打球によるアウトの減少が「時代による違いの多くを説明する」と書いています。スミスのデータでは、投球数だけで試合時間のばらつきのほぼ4分の3が説明でき、三振でアウトをひとつ取るには、ほかのアウトより約1.5球多くかかります。
試合ログにも、この三振の増え方が表れています。両チーム合わせた1試合あたりの三振は、1920年の5.8から2021年には17.2へ、ほぼ3倍になりました。スミスは投球と投球のあいだの時間にも注目しました。野球データサイトのFanGraphsの計測で、この時間がスミスの研究までの10年間に延びていたからです。スミスの説明では、投球が増えたことと、その間隔が延びたことの両方が、試合を長くしていました。ただしスミスの数字は、調べたデータの中での関連を示すもので、条件をそろえて試した結果ではありません。
MLBも以前から手を打ってはいました。2015年シーズンの前に、打者が打席から出ないようにするなど、試合の進行を速めるためのルールを導入しています。その年の試合は平均で6分短くなりましたが、2016年には再び3時間を超えました。

ピッチクロックで何が変わったか
2023年、MLBはピッチクロックを導入しました。投手はボールを受け取ってから、走者がいなければ15秒以内、走者がいれば20秒以内に投げなければなりません。この20秒は2024年に18秒になりました。時間切れになった投手には、ボールがひとつ宣告されます。打者は時計の残りが8秒以上あるうちに打席に入り、投手に向かって構えていなければならず、遅れるとストライクがひとつ宣告されます。投手が1人の打者に対してできる牽制球やプレートを外す動作は2回までに制限されました。3回目で走者をアウトにできなければボークとなり、走者が次の塁に進んだ時点で回数はリセットされます。同じシーズンには、ベースの大型化や、内野手の守備位置の制限といった変更も加わりました。英語版ウィキペディアのルール解説によると、これらは打球が飛ぶ機会を増やし、走者を動かすためのもので、試合の短縮を直接の目的とはしていませんでした。
9イニングの試合の平均は、2022年の184分から2023年には160分になりました。この24分の短縮は、1920年以降で2番目に大きかった1963年の9分の短縮をはるかに上回ります。3時間以上かかった試合の割合は57%から13%に下がりました。
ほとんど変わらなかったものもあります。1試合あたりの三振は2022年の16.5から2023年は17.0で、以前とほぼ同じでした。新しいルールが狙ったのは投球と投球のあいだの空白の時間で、投球の数ではなかったのです。試合ログからわかるのは、短縮がいつ起きたかであって、どのルールが効いたかではありません。いくつものルールが同時に始まったため、データからは24分をそれぞれのルールに振り分けることができません。

いまの試合時間
2024年、平均は156分(2時間36分)まで下がり、1984年以来の短さとなりました。2025年は158分とわずかに延び、3時間以上かかった試合は約11%でした。それでも2022年より25分短い水準です。
2026年シーズンは、まだレトロシートの試合ログに反映されていません。AP通信が9月に伝えたMLB自身の集計では、平均は2時間42分で、2025年より3分43秒長くなりました。MLBは、この延びのうち61秒を、新しく導入された「自動ボール・ストライク判定チャレンジシステム」によるものとしています。選手がボールやストライクの判定に異議を申し立て、コンピューターに判定させる仕組みです。それでもMLBの集計で見ると、2026年の試合は2022年より22分短くなっています。
ここで使った情報は、レトロシートから無償で提供されたもので、著作権はレトロシートに帰属します。関心のある方は「www.retrosheet.org」からレトロシートに連絡できます。

- Retrosheet game logs, MLB regular seasons 1920–2025: [
- David W. Smith, "Why Do Games Take So Long?", Baseball Research Journal (SABR), Fall 2018: [
- Wikipedia, "Pace of play": [
- Wikipedia, "Pitch clock": [
- Associated Press, "MLB average game time up nearly 4 minutes to 2:42, partly because of robot umpires" (via Fox Sports), September 28, 2026: [
- Wikipedia, "2020 Major League Baseball season" (seven-inning doubleheaders): [









